部品洗浄にまつわるトラブル

1.乾燥が悪い

水(純水)、水系洗浄剤、準水系洗浄剤を使用している場合、発生しやすい現象になります。

解決策1 : 水(純水)のみの場合、水系洗浄剤に変えてみる

水のみの場合は色々な方法を試しても乾燥しきれないケースが多いです。
水系の洗浄剤でも中性の物もあり、日々たくさん良い物が出てきていますので、チェックしてみてください。

解決策2 : 洗浄液温度を上げてみる

若干の乾燥残りがあったとしても、洗浄液温度を上げることにより、1~2分程度で自然乾燥するケースも多いです。

解決策3 : ブロアーからエアブローに変えてみる

省エネの観点から乾燥はブロアーを使用している場合もありますが、パワーが弱いのが難点です。
コンプレッサーは使用することになりますが、エアブローの方が圧倒的に乾燥力が高いです。

解決策4 : 温風、温室状態を作る

エアブローの場合、常温エアーでの乾燥が主流になりますが、エアブローを温風に変える機器もあります。
高温にするのは難しいですが、若干でも温風にすることにより効果が出る場合もあります。
もしくは洗浄機内部の乾燥しているステーションに温風機を取り付けて、ステーションそのものの温度を高くすることで、効果がでる場合もあります。
但し、小型洗浄機の場合、洗浄と乾燥が同室のタイプも多く、その場合は難しいかもしれません。

解決策5 : 動かない固定式の場合、回転式に変える

回転を加えることにより、遠心力も加わり、かつエアーも満遍なく当たる為、乾燥が良くなるケースが多いです。
もしくは固定式の場合、ワークを揺動させてエアーの当て方を変えると良いです 。

2.シミが残る

前工程の状態にもよりますが、洗浄残り、洗浄後の滴り、様々な原因があります。

解決策1 : 洗浄液の管理値見直し

洗浄液濃度が濃い場合、よく発生します。洗浄剤の成分によるものが大半です。管理値を下げてテストをお勧めします。

解決策2 : 洗浄液の交換とタンク掃除

洗浄液が汚れている場合、発生します。日々の管理方法の見直しをお勧めします。
あと、液交換のみでは、タンク内部が汚れている場合、交換後すぐ洗浄液が汚れます。
タンク内を掃除してみましょう。

解決策3 : 前工程の状態を改善する

前工程であまりにも汚れている状態で持ち込まれると早く洗浄液が汚れ、製品に転写します。
軽くブロー後に投入するだけでも改善されます。

解決策4 : 洗浄剤の見直し

材質と洗浄剤の成分が合っていないかもしれません。見直しをお勧めします。

解決策5 : 水のみで洗浄している場合、洗浄剤を使用する

目に見えない巣や切削目に汚れが潜んでいる場合があり、水のみではその細かい目に届かない場合があります。
洗浄剤は細かいクラスターの物もあるので、汚れに届く可能性があり、かつ洗浄力そのものも向上するのでお勧めです。

解決策6 : 洗浄ノズルや天井からの滴りを解消

乾燥後に洗浄ノズルや天井から滴るケースがあり、そのままシミになります。
洗浄室と乾燥室を同じステーションで行うと発生しやすい現象です。

3.隙間のコンタミが取り切れない

解決策1 : 超音波洗浄機を使用している場合、シャワーorジェット洗浄機に変えてみる

超音波洗浄機は細かなコンタミには対応できますが、大きなコンタミになると効果を発揮できない場合があります。
元々超音波は脱脂目的がメインとなりますので、コンタミ除去が目的であればシャワー式orジェット式がお勧めです。

解決策2 : 高圧ポンプに変える

シャワー式で除去しきれない場合、ジェット式(高圧)にすることで、除去できる可能性があります。
高圧ポンプの圧力については、5MPa以上を指します。圧力の選定はケースバイケースですが、5MPaでダメなら、10MPa、といった形になると思います。
50MPa以上になるとバリ取り洗浄機クラスの洗浄圧力になります。

解決策3 : 乾燥を見直す

洗浄後、乾燥している最中に飛来してきて、コンタミが隙間に入り込むケースも少なくありません。
洗浄と乾燥のステーションを分けることで、解消される場合もあります。

4.油分が残る

解決策1 : シャワー式orジェット式から超音波洗浄機or真空洗浄機に変えてみる

水系や準水系洗浄剤の場合、脱脂しきれないケースが多々あります。
脱脂性能を求める場合は、非水系洗浄剤(炭化水素系など)の使用が必要になってきます。
但し、引火性があり、かつ揮発性も高い為、シャワー式やジェット式では気化する為、引火する可能性があり、使用不可ですので、防爆仕様の超音波や真空洗浄機を選定する必要があります。

解決策2 : 水系から準水系洗浄剤に変えてみる

非水系洗浄剤は法規制的にも使用したくなく、脱脂性能を今よりも改善する(完全脱脂でない)程度であれば、水系洗浄剤から準水系洗浄剤(非引火性が多い)への変更をお勧めします。
但し、準水系の場合、洗浄と乾燥のみでは難しく、洗浄後にリンス工程を追加する必要があります。

5.ダーティー槽が詰まる(溢れる)

シャワー式orジェット式の場合、二層式の物もあります。その場合、ダーティー槽(汚れた洗浄液を溜める洗浄槽)が詰まったり、溢れ出したりすることがよくあります。

解決策1 : コンタミ(切粉など)を一時受けする機構を追加する

ダーティー槽に洗浄液がいく前にコンタミを回収する機構を取り付ける事をお勧めします。
コンタミがダーティー槽の下に溜まっていって、溢れることが多いです。

解決策2 : スラッジ回収装置を取り付ける

コンタミというよりも粒子が細かい粉などがダーティー槽の底でスラッジ(へどろ)として溜まっていって、溢れることが多いです。

解決策3 : ろ過装置の機構を見直す

洗浄条件(洗浄速度や洗浄液の使用量)と、ろ過装置(油水分離機など)の条件が合っていない場合、ダーティー槽の処理が追い付かず、そもそも溢れる条件になっている場合もあります。
メーカーによりますが、洗浄テストではそこまでの確認を行っていないケースがあります。

解決策4 : 前工程の状態を改善する

前工程であまりにも汚れている状態で持ち込まれると早く洗浄液が汚れ、洗浄槽の汚れやろ過装置の性能低下にもつながり、結果ダーティー槽のキャパオーバーに繋がったりします。
軽くブロー後に投入するだけでも改善されます。

6.洗浄機内(タンク含む)の洗浄

洗浄機自体が汚れると洗浄性能も落ちてしまいますので、しっかりメンテナンスしましょう。

解決策1 : 高圧洗浄機を使用する

洗浄機メーカーに保守依頼した場合、どうやって洗浄機を洗浄しているのかというと、ケルヒャーなど洗車等で使用しているような家庭向けからグレードアップした業務用の温水高圧洗浄機で洗浄室や洗浄槽を洗浄している場合が多いです。
多層式洗浄機などの場合は、拡散ノズルが既に取り付けられていて、洗浄機能を持たせたタイプが既に洗浄機メーカーより販売されている物もあります。

解決策2 : 洗浄機を購入する時点で、内部を洗浄しやすい構造にしてもらう

意外と忘れがちだったり、初めて洗浄機を導入される企業様で多いのが、洗浄機自体の洗浄事情を知らないお客様です。洗浄機メーカー側ではなかなか親切にその点を考慮して提案してくれません。
洗浄室の横に扉を付けたり、洗浄槽の蓋を大きめに設定したり、水を抜く構造をやりやすいようにしたり、しっかりと要望を出しておかないと、後々面倒になります。

解決策3 : 洗浄機メーカーへ依頼する

購入した洗浄機メーカーへ依頼し、有償で受けてもらえる場合もあります。
構造上複雑だったり洗いにくい場合は依頼した方が良い場合もあります。
洗浄機のオーバーホールも含めての依頼もすれば、故障リスクも低減できます。

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